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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第33章 "乱"
総司はなんとなく蔵の前に来ていた。
「沖田先生…」
「通せとは言いませんよ、しかしまだ吐かないのですかね…」
「はぁ…
自分達でははなんとも…
今、副長と橘先生が中に居ます。」
「橘さん!?」
何故瑠衣が拷問の手伝いを??
「良く分かりませんが、鬼がもう一匹必要かと…
そう言いまして、中に入って行きました」
「…鬼がもう一匹必要……」
先程、拷問に付き合っていた隊士が、大部屋で気を失うように倒れてる姿を見た。
それに朝瑠衣が言っていた‥拷問する側も精神力と体力を使うと…
だから、自分が隊士達の代わりに??
総司は中には入れないが、蔵の近くで待つ事にした。
「はぁ……
まだ足りねぇのかよ…」
土方は上を見上げる、瑠衣は頷き蝋を垂らす‥この繰り返し。
「あ"ぁぁ…分か…った…話…すから…止めて…くれ……」
瑠衣は蝋燭の火を吹き消す、そして下への階段の方に移動し始めた。
「じゃぁ、お前が知ってる事を話して貰おうじゃねぇか…」
「あ‥ぁぁ……」
古高は観念したのか、目から涙が流れている。
その時には、瑠衣は土方の隣りまで来ていた。
「風の…強い日…御所に火を放ち、帝を長州にお連れし…政権を樹立させる…火に紛れ…幕府側の人間を暗殺…する…つもり……だ…」
余りの計画に土方は唖然とする…。
「首謀者は誰だ!!」
「吉田‥歳麿……」
瑠衣は土方に後は任せろと合図を送る。
土方もそれに気付き、次の対策を立てる為に蔵から出て行った。
瑠衣は苦無を取り出し、古高が吊されている縄を切る。
"ドサッ"
床に落ちる古高…
とりあえず邪魔な蝋を取り、近くにあった古高の服を裂き応急処置をする。
「…鬼の情けか…」
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