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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第33章 "乱"


中に入った途端、殺伐とした空気が総司と瑠衣を襲う。

二人も無言になり、ただ隠し持って来た、隊服や鉢鉦などを淡々と身に付けていく。

そして、開いている場所に座り、刀を片手にただその時を待つ・・・



「これで全員か?」

土方は余りの少なさに、少々眉間にシワを寄せている。


「歳、山南君と山崎君は屯所で留守番役、後は流行り病で倒れている者ばかりだ、仕方あるまい」

会所の上座で腕を組み座っている近藤が土方に口を出した。


「…山南さんもだったな……
数えて三十四人か…
厳しいな‥それにしても会津はどうした!?
そろそろ約束の刻限だぞ」

会所の隅の方に居る総司と瑠衣、二人は小さく会話。


「…お役所仕事ですからね…
そんなに簡単に動くとは思えません」

「私も橘さんの意見に同意ですね…
去年、嫌な程身に染みました…」

「頭の固い連中ですから…」

「…全くです」

刻は着々と進み、会津からの援軍は来ない。


「近藤さんっ、会津の援軍を待ってたら何時になるか分からねぇ…
俺達だけで出陣しようぜ!!
それに‥新撰組の力を見せる良い機会だっ、会津や見回り組の鼻を明かしてやろうぜ…」

近藤は腕を組み、じっと考えている……

このまま援軍を待っても来る確率は低い…
ならば、この三十四人に賭けてみようではないかと…


「・・・・・歳・・・」

近藤が重く口を開く…

呼ばれた土方他、中に居る全員が近藤に注目する中…


「援軍を待ってはいられん…
我々新撰組の力、今こそ見せよう……
出陣するぞ!
歳、組み分けを頼む!!」

「流石近藤さんだぜ…
あぁ、分かった」



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