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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第33章 "乱"
「ねぇ総司…
暑く無いの?」
藤堂が不思議そうに、総司に聞いて来た。
「??
暑いですよ、当たり前じゃぁ無いですか」
「うん‥でも……」
瑠衣はチラリと総司を見る…
着物の中に防具を着込んでいる筈なのに、汗一つかいていない。
(やはり‥読み通り…)
これを心配して、今まで此処に止まった…
当たらなければ良い感…
こういう時は嫌な程当たる。
(後一軒で池田屋…
守り通すしか無い……)
瑠衣は何も語らず、ただ池田屋へと歩いている…
新撰組の為に‥総司の為に‥最後の恩返し…
それが自分に出来る数少ない事。
瑠衣は懐に手を…
懐には総司から貰った簪が入ってる…
本当は持って来るべきでは無いと分かっていながら、手放せ無かった。
近藤率いる隊は池田屋近づいた…
「・・・
当たり‥引きましたね近藤さん…」
「そのようだ…
突入は私、総司、橘、永倉、藤堂……
後は外を固めろ」
近藤のその言葉に、武田達は池田屋の正面と裏口へと離散。
暫く間を置いて、谷兄弟を正面入り口の見張りに回し、近藤は池田屋の戸を叩く……
「はいはい、なんでしゃろ」
主人が戸を開けた瞬間、近藤は主人を突き飛ばし池田屋の中に入った!
「御用改めである!!
手向かいする者あらば斬り捨てる!!」
その言葉に、長州方の浪士達が刀を手に、二階から駆け下り臨戦態勢!
近藤の突入に合わせ、総司、瑠衣、永倉、藤堂も池田屋に……
「予想以上に敵が多そうですねぇ…」
皆刀を引き抜き臨戦態勢を取る。
「壬生浪覚悟ぉ!!」
浪士が一斉に、此方に向かって斬り掛かって来た!
『ズシャ…』
近藤を追い越し、総司が敵を迎え撃つ。
それを皮切りに、池田屋内は乱戦に突入………
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