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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第33章 "乱"
隊士達が桶に水を汲み、運んで戻って来た。
「そのまま先生に掛けて!」
隊士達は頷き、総司の体に水を掛ける。
(熱中症はまず冷やすのが第一、後は水分の補給)
柄杓を借り、総司に水を飲ませようとする…
が、上手くいかない。
予想はしていた為、瑠衣は冷静だ。
その間も、隊士達が総司に水を掛けている。
総司の体に触り、先程より体温が下がってるのを確認。
「ありがとう、後は大丈夫です…
桶一つ水を置いて、後は中の援護に回って下さい」
「分かりました」
隊士達は、池田屋の中へと入って行く。
瑠衣はそれを確認して、もう一度柄杓に水を汲む。
そして、懐から紙の包みを取り出し水に混ぜた。
中身は塩と砂糖、体の水分が抜けているという事は、当然塩分と糖分も不足している事になる。
「・・・・・」
瑠衣は柄杓の水を口に含み、直接総司の唇をこじ開け水を少しずつ流してゆく……
"コクン・・・"
喉が動くのが分かる、少しずつだが総司の口に水を流し、無くなったらまた柄杓の水を含み、口移しで飲ませていくの繰り返し。
「・・・・んっ・・・」
ゆったりと総司の目が開く。
「先生!!
分かりますか!?」
目の前に、心配そうな瑠衣の顔がある…
(私は…??)
必死に記憶を辿る…
(確か‥吉田と……
それで急に目眩がして…
周りが暗くなって……)
「先生っ!!」
もう一度、瑠衣の声がする。
「・・・・
橘‥‥‥さん??」
「はぁ-良かったぁ…
意識戻りましたね」
どうやら、池田屋の外で寝かされているようだ。
「もう少し、水を飲んで下さい!!」
柄杓の水を飲む総司、もう大丈夫だろう。
「先生は熱中症で倒れたんですよ…
まだかなりの熱がありますから、動けませんよ」
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