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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第33章 "乱"


しかし、瑠衣は気付いたらしく、僅かに目を細めて笑った。


「まだ動ける者は残党狩りをするぞっ!!」

その言葉に原田、斎藤、と数名の平隊士、それに瑠衣が名乗りを上げる。


「橘、無理はするな」

「自分ならば平気です、此処に居るより、体を動かした方が楽ですので…」

「そうか…
皆長州藩邸を中心に探してくれ、頼んだぞ!」

その言葉に、追跡組は池田屋を離れた・・・







瑠衣も、長州藩邸を中心に京の街中を捜索している。

鉢鉦と手甲は、池田屋で外して来た。


「さて…
どちらに行こう…」

今回は見付けても、見付からなくても構わない…
ただ、あれ以上あの場に居たく無かっただけ…

多分、自分達が出た後、会津辺りと揉め事になっている筈。

表には、あまり顔は出したくはない。



藩邸の周りをゆっくり歩いて見る…


(流石に無いか…)


逃げ場所に心当たりもあるが、敢えて捜索しない。

本当にただの時間潰し…


「・・・」

瑠衣は急に隊服を脱ぎ、屋根の上に上がり移動を始める。

目的はお気に入りだった櫓、流石に隊服着てると目立ってしまう。




櫓の上に登り、京の街を見下ろす。


「・・・
終わったな………」

腰を下ろし、池田屋の方向を見ると…
其処だけ灯りが見える、ちょうど土方と会津の小競り合いの真っ最中だろうか?

しかしそれは自分に取ってはどうでも良いこと、歴史通り進んでいるだけ…


(長いようで…
短かったな………)


瑠璃に引きずられ、幕末に来てから一年弱…
本当に色々な事があった。

この櫓も、何度登った事か…

新撰組に入り、"鬼"と戦い、仲間と笑いあったり…

人も沢山殺した…

それでも、新撰組から離れられなかったのは、総司が居たから。


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