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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第33章 "乱"
「本当に調子に乗って、団子百本でも買って貰って、みんなに配ろうかなぁ--」
「た‥橘さん…!?
それは少々勘弁して下さいよぉ-」
本気で泣きそうな総司を見て、瑠衣はまた笑う。
本当に楽しそうに。
「皆、良く頑張ってくれた、此から屯所に凱旋するぞ!!」
近藤の言葉に隊士達は、近藤の後に続き歩き出す。
皆晴れやかな顔をしている。
総司と瑠衣も前の方で、誇らしげに歩く。
「何か‥美味しいものでも飛んで来ませんかねぇ-」
「総司お前な…
頭の中は甘味しか無いのかよ…」
「左之は女ですか?」
「はぁ-
世の中、女が居なきゃ始まらないってかぁ-」
確かに、沿道の京の人々は此方に歓声を送っている。
勿論女の人も……
「こんないい気分無いぜ!」
「「分かりません………」」
総司と瑠衣が、声を揃えて言う。
「お前ら本当に男かぁ!?」
そんな馬鹿話をしながら、屯所に戻る新撰組隊士達。
何時もならば、怒る土方も、今日は大目に見ている。
隊士達も馴染みの遊女に手を振ったり、家族が見に来てたりと、皆にこやか顔。
そんな歓声の中、隊士達は屯所に着いた。
流石に今日は隊務は無し…
それぞれ自由に休んで欲しいとの近藤の言葉で、隊士達は解散。
総司と瑠衣も、一休みする為に自室へと戻った。
瑠衣は部屋に戻るなり、やはり疲れが溜まっていたのか、直ぐに眠ってしまった。
総司も連戦と熱中症で疲れが出たのか、うとうとと眠ってしまう。
夕方ー
総司より先に目を覚ました瑠衣は、何時もより大きめの型代を作り、隊服を括り付けて飛ばす。
そして、布団をそっと布団部屋へと移動させた。
(後何も忘れてないな…)
身辺整理も済み、一年弱居た部屋を見回す。
(今更ながら愛着があるな…)
ずっと此処で寝起きし、笑い合い、愛し合い…
隊務や書類整理で揉めたりと、本当に色々あった。
総司と共に過ごしたこの時間が、自分の大切な思い出…
もう二度と無いと思う自分の自由。
瑠衣は総司を起こさないように、そっと縁側に出て腰掛けた。
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