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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第33章 "乱"
そして無心で、庭を眺め出した・・・
「う-ん…」
総司もやっと目が覚める…
やはり疲れていたのかもう夜、ふと外に目をやると瑠衣が縁側に座っている。
「おはようございます…
って、もう夜ですね」
「総司ぐっすり眠っていましたから」
「みたいですねぇ-」
「・・・
総司、少し散歩にでも行きませんか??」
「良いですよ、ではさっさと着替えますね」
(感情が出るようになったけど…
演技も上手くなったな………)
当代様からの返事も来た。
本当は随分前から、どうしょうかと思っていた。
けど言い出せ無くて…
だが、今日は逃げる訳にはいかない。
(本当に、何て言えば良いんだろう…)
瑠衣の心の葛藤をよそに、総司が着替えて出て来る。
「行きますか…」
「そうですね」
二人はこっそりと、屯所を抜け出した。
土手を下り、川原を歩く二人。
辺りには誰もいない…
いや、いない所に総司を誘導した。
瑠衣は立ち止まって、川に手を入れる。
その表情は切なそうに川を見て、川の水を実感するように確かめ・・・・・・・
「…瑠衣」
「…はい……」
「何かあったのですか?」
「何か・・・ですか・・」
総司に目を合わせようとしない…
いや出来ない。
仕方が無いので、総司の方から瑠衣に近付いて、瑠衣の隣に座る。
「瑠衣らしく無いですよ?」
「自分らしく‥ですか…?」
瑠衣は一度瞳を閉じ、覚悟を決めて開ける。
「・・・
こういう時って、何て言えば良いいのかな……」
瑠衣は総司を見る…
その瞳は、切なそうで悲しそうで……
「・・・
戻るの‥ですか……」
瑠衣は立ち上がる、それに合わせて総司も立ち上がった。
「はい…
何時までも居られませんから…」
その途端、瑠衣は総司に抱き締められた……
この温もりも最後…
心に刻むように、総司の温もりに身を預ける。
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