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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第33章 "乱"
「何時かは・・・
何時かはこの時が来るのは分かっていました…
瑠衣‥ずっと我慢していたのですか?」
「ごめんなさい…
言わなくてはと思いながら‥今日まで……
総司を悲しませたく無かった‥‥だから…」
総司の腕の力が強くなる、離したくない…
そう言ってるように見える…
「自分…
いや‥私だって嫌です…
でも逆らえない……
それが私の運命だから…
でも、此処に来た事も、総司の事も後悔はしてない」
「私も後悔はしてませんよ…
例え会えなくても、瑠衣を愛しているのには変わりません」
その言葉に、瑠衣の肩が微かに揺れる。
「総司には‥まだ選択肢があります…
一から、私では無い違う方と……」
「瑠衣??」
「脇差しと根付け、大切にして下さい…
必ず総司を守ってくれますから…」
「当たり前ですっ!!」
「それを聞いて安心しました…」
瑠衣は上を向き、優しく笑う…
「…総司……
私は一つだけ‥総司に嘘を付いていました…
此からする事を許せとは言いません、恨んでくれても構いません…
けど、私は一生総司だけですから…」
「瑠衣なに…んっ……」
瑠衣は、総司に優しく口付けする…
総司の背で印を結びながら………
「る…い………」
総司の瞳が虚ろに漂う…
「"忘れなさい…脇差しと根付けだけは大切に…さぁ…自分の帰るべき場所に帰りなさい…そして眠りなさい…橘瑠衣の事は全て忘れて…"」
瑠衣は泣きながら、総司に語る最後の真言……
総司は意志が無いように、屯所への道を辿ってゆく………
総司が見えなくなるまで、瑠衣は涙で霞んだ瞳で見ていた…
「ごめん‥なさい‥‥総司…………」
その場に座り込み、今度こそ瑠衣は本当に泣き崩れた・・・
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