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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第8章 "常"
島原-
ゆっくりな歩調で島原遊廓の中を歩く瑠衣
まだ昼間な事もあり浴衣姿の仕事前の遊女が軒下や甘味処で寛いでいて、見た目美少年な武士の形をしている瑠衣を見てそわそわと盛り上がっているのが見て取れる。
(・・・目立ちに来たんじゃ無いんだが…)
周りの好機の目線に多少渋い顔をしながら、目的地である華因が居る置屋へと向かっている…
勿論華因には連絡済み、共同体である自分と華因は"思う"だけで互いにに意志の疎通が出来る
だから屯所を出る前に華因に連絡を取っていた‥まぁその前に向こうが気付いているとは思うが…
華因の居る店は島原でも一二を争う大店で倒幕佐幕関係無く男達が出入りしている、店もその辺は上手くやっているのだろう、かなりの上客常客を捕まえているらしい…
…と、これは華因から入って来た情報である。
店に辿り着き裏側へと回る、華因には其処で落ち合うと繋ぎを取っている。
「・・・瑠衣!!」
フラフラな自分を見て心配そうな顔で近付いて来る華因‥いや月詠と言った方が良いのか……
「大丈夫‥じゃないわね…」
「あぁ…
早急に何とかしないと不味いかな」
「随分呑気な事を言ってるわね、マジ補給しないと昏睡するじゃないの!!」
「分かってる‥だから此処に来た…」
此処に‥華因と合流したのは力の補給の為…
仕方が無い、今自分は男として生活をしているのだから女子物なぞ何一つある訳が無い、だから華因の元に来たのだから…
「分かってるわよ
で、どういう計画?」
「・・・贅沢言ってる余裕も無いから適当…」
「ちょ…それって・・・」
お気楽呑気な華因が本気で焦る、余裕が無いから適当な男で我慢する‥瑠衣はそう言いたい訳で、つまりそれは……
「瑠衣良いの?
相手死ぬわよ……」
「あぁ…
理解はしてる、だが背に腹は変えられない…
影響なさそうな奴を数人、それで十分だろう」
「・・・・・
だったら島原の外れの出会い茶屋が一番ね、適当な男の方は任せて頂戴
とりあえず着替え着替え」
華因は瑠衣の手を引き店の裏口から密かに中へと入る…
一応今の瑠衣は男‥客じゃない男を堂々と店の中に引き込む訳にはいかない、それが理由である。
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