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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第8章 "常"


上手く忍び込みに成功し、華‥月詠の私室に入り込んだ。


「着替えと言ってもどうしようかしらー
遊女は不味いし‥町娘?
お嬢様のお遊びなんて似合いそうね」

「・・・
勝手にしてくれ…
そっちは華因の方が得意だろ…」

「やる気無いわねー
まぁ当たり前だと華因ちゃんだって分かってわいるけどねー
でも‥出るとこ出たらちゃんと"演技"してよ?」

「あぁ……」

相手が華因だと言う事もあり言葉使いも何もあったものじゃない
互いに性格は嫌な程知っているのだ、今更取り繕う事も無いだろう

それに華因が言う"演技"‥勿論そういう行為の時に無表情ではなく"演技"でも感じてる振りをしろ、そう言ってる訳で‥人間と交わるならば当然と言えば当然、"儀式"じゃないのだから"演技"でもしないと不自然極まりない。


「クスッ…
瑠衣ー"演技"が嫌ならぁたしが先に快感を引き出てあげるわよ」

「・・・勘弁してくれ、だだでさえ力不足なんだ余計な体力を使わせるな」

「つまんなーい!
瑠衣攻めがいあるのに…
とにかくその姿替え何とかならない?
せめて髪だけは長くしてよ、それともっと高い声!!」

「え……あぁ……」

この姿では話にならないのは確かで‥仕方無くだが姿替えを少し替え髪を腰まで長くし、声色も女性らしくなるまで上げてみる。


「・・こんなものか?」

「ちょっと、言葉使い気を付けてよね
口の悪い女って嫌われるわよ」

「あぁ…じゃない‥ぅん……」

「本当に大丈夫かしら‥心配になるわよ
もうっ後は女物に着替える!!」

「・・分かってるわ」

夫唱婦随女言葉を使い、華因が用意した少し仕立ての良い着物に着替え出す…


「元は良いのにどうしてこうなのかしらねー
華因ちゃん見たく女らしくしていれば絶世の美女なのに…」

「はぁ…
仕方が無い、そういう暮らしが長かったんだから…いや‥長かったので身に付いた事は簡単には変えれないわ」

瑠衣的最大譲歩で、かなりぎこちない女言葉を使っている…

その内に着替え終わり華因が軽く化粧を施して俄かお嬢様の出来上がり。


「うん、流石ねー
元が良いと作りがいがあるー」

鏡の前に立つ瑠衣は、長い髪を中間くらいから束ね、薄青の着物に山吹の帯、軽く塗った紅が綺麗な顔を更に引き立てている、俗に言う薄幸の美女の類に仕立てられた。
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