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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第8章 "常"


「我ながら良い出来栄えー
じゃぁ餌を探して来るから時を見て出会い茶屋に行っててよ」

「ぅん…
出来るだけ共有しておくわ…」

ご機嫌良く部屋を出て行く華因に対して瑠衣は多少渋い顔…
餌…即ち力を頂く人間を探して来ると言っている訳で、力不足の自分と交われば其れ即ち死に繋がる。

分かっているつもりだが良い気分でいられる訳が無い…
一族だろうが人間だろうが自分の力の為に命を奪う、弱肉強食と言えばそれまでだが、自分だとて其処まで非情にはなれない。


「・・・・・」

今自分は華因と視野を共有している
共同体である自分達は見る物聞く物全て互いに共有して見聞き出来る


(・・・
自分で捕まえる訳じゃ無いのか…)


どうやら島原の店の下男を使って男を誘導するらしく、華因は少しでも力がありそうな男を見極めている最中…

彼奴のお眼鏡に叶う男など中々居ないとは思うが、探している目線で今日の所は少し力の弱い者でも捕まえる気でいるのが良く分かる。


どれくらい待っただろうか……


(・・・・・
見つけた‥武士三人組…
此方も移動しよう)


島原の外から来た武士三人組に店の下男が近寄り下手に出て交渉している、多分遊女より安く良い女が居るとでも言っているのだろう。

それを確かめて瑠衣も見つからない様に店を抜け出し出会い茶屋へと向かった。





始めから華因が話を通していたのか、女一人で出会い茶屋に入っても女将は嫌な顔せず二階の一室に通してくれた…

「・・・・・・」

少々薄暗い部屋には如何にもと言わんばかりの赤い色をした布団が引いてある、勿論其れが目的の場所なのだから当たり前、後は衝立と鏡台が一つづつある程度、見事に男女が交わる為だけにある部屋の作り。

その部屋の窓際に座り、華因が捕まえた男達を待つ事にする・・・

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