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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第2章 "神"
外宮の奥宮の広い1室で1人だけの食事
海の幸山の幸目の前の豪華な食卓に並びきれない程の贅を凝らした料理の数々‥
只人が見れば一生に一度拝めるかどうかの煌びやかな食卓も、朱雀にとれば興味を惹かれない日々の食事風景
これも形式化と言えばいいのか?
代々朱雀の食事は贅の限りを尽くすに尽くした物が出される、そう王様か皇帝のよう‥一族の見栄ともいうか…
当の朱雀本人は無表情に一品二品に手を付けるだけ、後は数少ない趣味‥煙管を吹かして食事は終わる・・・毎日繰り返えされる通例に朱雀は何を思うか・・・
食事の後は湯浴み、側周りの女官が湯着を持ち朱雀を湯着に着替えさせ…
着替える際に見える肌は雪よりも白い肌のよう、その均整の取れた美しい肢体に女官達も主人である朱雀に見惚れてしまっている
「早よう致せ…」
「も・・・申し訳ありませぬ!!」
慌てて白の湯着を着せ前紐を縛ると女官共が見えないがの如く朱雀は湯へと身を任せた・・・
天然の温泉を引いた広い露天風呂は朱雀の好きな場所の1つ
温泉は火山‥つまりマグマに温められたら自然の産物、それ即ち炎の神朱雀へと繋がる
心地よい湯に何時までもこうして居たいが女官達‥そしてこの後に控えている"儀式"がある
気は進まずとも"儀式"の為に既に人選し儀式の間で控えているであろう一族を蔑ろにする気は毛頭無い、定めには逆らえぬ我が身なれば……
湯から上がればすかさず女官達が"儀式"用の夜着を持ち、その長く透き通るような銀色の髪を梳く、そこに無駄な動きは一切なく朱雀共に人形の集まりとすら思えてしまう
一通り終え、女官を先頭に歩き出した先は奥宮の更に最奥である儀式の間
秘すべき場所はこの広大な外宮の最深部に作られていて、秘密を外部に知られないように一部‥"儀式"に関係ある一族しか知らない場所として存在する
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