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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第8章 "常"
出会い茶屋から華因が居る店に戻って来た。
「んーお疲れー
・・・うん、力の方はだいぶ回復したわね」
元の男姿に着替えている最中、華因がご機嫌に言い放つ
「まぁ…
完全とはいかないが、かなり回復はしたよ…
でも華因、死んだ男共はどうするんだ?」
あのまま放置して来たのだが大丈夫なのか??
「それね…
あの出会い茶屋の女将は裏と繋がっているのよ
少し多めに積んどいたから死体くらい跡形も無く片付けるわ、心配無い心配無い…クスッ」
成る程‥あの出会い茶屋を選んだのにはこういう訳があったのか…
裏家業‥抜け荷や情報‥殺しから死体処理まで何でもやるのだろう、組としては頭が痛い話だが、此処は身の保身の為に無言を貫くしかなさそうだ。
「それで、今の回復で大丈夫なのー??」
「どうだろ?
暫くは保つとは思うが毎日の事だから落ちるのは時間の問題だと思う」
毎日総司に力を送っているのが力の低下の主たる原因、未だ瑠璃の血は消えず後何時まで掛かるか予想も出来ない。
「ホント困ったわね
まぁ華因ちゃんは毎日力を送るけど…」
「助かってるよ、それで此処まで保ったんだから…
それでも十日程度なんだな…」
「じゃぁ動けなくなる前にまたやるしかないわよ」
それには思いっきり渋い顔をしてしまう…
あんな事が毎回‥流石の自分だとて嫌気くらい差す。
「でも必要な事よ…」
「それは分かってる
贅沢言ってる余裕も無い‥か…」
「そおねぇー
土地の人間じゃ無く更に少し美味しそうな武士‥今回は簡単に見つけられたけど、普通は中々見つからないわ」
確かにあの三人には京訛りは無かった、多分江戸辺りの人間だったのだろう。
「それじゃあ華因ちゃんが見付けて置いてストックしてあげるわぁー
天神月詠は伊達じゃぁないのよー」
相変わらずのお気楽華因に二の句が告げない、だが此処は華因の言う通りにするしか力の補給の近道が無いのも納得している。
「はぁー
とりあえず帰る!!」
「つれないわねー!!」
「今更だろ?
何かあったらまた連絡する」
着替え終わり溜め息を付きながら長居は無用と店を出る事に…
此が定期的に繰り返される事になるとは……瑠衣でさえ思っていなかった・・・・・
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