この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
木之花ノ夜想曲~夢語り~
第9章 "急"
「橘さん詳しいですねぇー
けど、赤い瞳って物凄く珍しいものですよね?」
(当たり前だ!!
天然かこの男…)
赤い瞳なんて朱雀ただ一人しか居ない"鬼"でも赤い瞳は無い。
「…それで朱雀様は何時いらっしゃるんですか?」
「今日です!!」
「はいーっ!?!?」
幾らなんでも急過ぎるだろっ!!
なに考えているんだ!!
どんな理由にせよ、朱雀様が外出するとなれば武将共が大変な目に合うのは必死…
それを押して新撰組屯所に何の用事があるのやら…
「思いたったら即行動、凄い方ですねぇー」
(周りの迷惑考えて下さい…)
ガックリうなだれる瑠衣と、大はしゃぎの総司…
両者の食い違いは夜まで続くのである・・・・・
夜ー
朱雀様がおいでになるという事で急遽夜の巡察は中止。
(逃げれん・・・・)
巡察を理由に逃げるつもりだった瑠衣は至極面白くない…
屯所の中は平隊士はそれぞれの部屋で待機、幹部達は朱雀様の出迎えに右往左往…
勿論一応幹部という事で当然瑠衣も走り回っている。
「客間の準備は!?
源さん、一番高い茶用意してるだろうなっ!!
後茶菓子も夕方言ったもの買って来てるだろうな!?
それと、武田は表にすら出すなっ!!
近藤さんっ、少しは落ち着け!!」
情け容赦のない土方の声が屯所中に響き渡る。
一張羅を着、自室でウロウロと落ち着かない近藤……
その隣で山南がニコニコと座っている…
さしずめ近藤のお目付役って所だろう。
「土方さーん
寅屋の最高の酒買って来たぜ!」
原田が酒を抱えて炊事場に現れる。
「おぉ、左之すまんなぁ」
源さんは原田から酒を受け取り、また一品作りに精を出す。
「ぱっちゃん、平助、道場の方は片付いたのか??」
「「ばっちり!!」」
「総司と橘はどうしたっ!!」
「客間の掃除に回ってるよ」
「山崎は出迎えに門の前で待機だっ!!」
もう、誰が誰だか分からなくなる程の入り乱れ状態・・・・・
怒鳴ってるのは間違いなく土方なのだが……
客間で掃除をしている総司と瑠衣。
「これでもかっていうくらい部屋の中を磨いとけっ!!」
…と土方に言われた為である。
・