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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第9章 "急"
「橘さん、そっち終わりましたぁー?」
「はい、後は座布団くらいですかね…」
掃除道具を片づけながら、客用の座布団は何処だと考えてる。
「んー
来られる前に死にそうですぅー」
「はぁ‥確かに…」
座布団を置きながら、巡察をしてる方がマシと思う…
「終わりましたね、じゃぁ私達も自室で待機しましょう」
「はい、分かりました」
もう一度確認をして、客間から出る二人…
幹部揃って掃除だ買い出しだなんて新撰組始まって以来の珍事件。
(朱雀という影響力かぁ…)
"神"である朱雀、それが動く影響…
自分でも良く分かってる事だが、他人ごととして体験するのは勿論初めての事。
(あまり出歩くのは止めよう)
切実に瑠衣は思う(勿論自分の時代での話である)…
山崎は門の前に立っている(土方の命令)…
そこに、黒い着流しに長い髪をした男が一人屯所にやって来た。
「ふっ、山崎丞だな…
近藤の所にあないせい」
高圧的な態度、そして尋常ならざる強大な気で山崎も変装した朱雀様だと気づく…
「は…はい、此方で御座います」
流石の山崎も今日は標準語になってる(本人は気づいて無いかも知れないが…)
朱雀様を先導し、客間に向かって歩き出した。
客間ー
「局長、朱雀様をお連れしました」
すると近藤が飛び出して来た!!
「朱雀様、お待ちしておりました…
さぁ中へ…」
朱雀と近藤が中に入ると山崎はそっと襖を閉めた…
上座には朱雀様
下座には近藤・山南・土方が座っている。
「朱雀様におかれましては、本日……」
近藤の言葉に朱雀は手を出し、言葉を止める。
「今日は朱雀として来た訳ではない、堅苦しいのは抜きだ…」
確かに今の朱雀は容姿こそ変えてないが、黒髪、黒目と色彩は変えている。
「作用で…
では今宵はどの様な要件で此方にお越し下さったのですか?」
流石土方、朱雀様の言葉に即座に切り替えている。
「面白そうでな…
今時にしては鉄の掟を作り、泰平の世を甘んじて来た武士共とは違う思想を持ち、己の士道を貫くその姿を見たくなった…
戦国の世、下剋上たらんとし己が力で頂点に君臨したあの者に似た雰囲気を持つのでな…」
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