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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第9章 "急"
戦国時代、自身の力で頂点に君臨した者…つまり豊臣秀吉…
農民の出ながら、己が運と才覚で何処までも登り上がった戦国の世の最強武将。
その豊臣秀吉と新撰組が似てるという。
「豊臣秀吉公ですか?」
「そうだ、あの者も面白い奴だったの、飾り気が無く、気さくで真面目かと思えば馬鹿もする、本当に見ていて飽きない奴だったのぅ…」
「見知っているようなお言葉ですね」
山南の目が輝いている。
「あぁ…
本当に気に入ってな、暫く行動を共にした」
近藤、山崎、土方は驚き朱雀を凝視する。
「不思議ではあるまい…
我は不老長寿なのでな、そろそろ八百才になろうかの…」
その言葉に更に驚く近藤達。
"神"である朱雀様が長寿なのは知っているが、そんなに生きてるとは思ってもいなかったのである。
「此処には小さな秀吉がいっぱい居るようでな…」
遠い目をする朱雀、昔を思い出しているのだろうか?
「朱雀様にそう言って頂けるとは、大変嬉しく思います」
とても嬉しそうに近藤は言う…
太閤秀吉と似てると言われて悪い気はしない。
「不思議な人物像として、今に伝わっておりますね」
山南も朱雀が言う秀吉の人物像に同意する。
「何もかもが必死の時代ですか…
確かに今と変わらない…そんな感じにも取れます」
土方は戦国の世と今を重ねて思う…
群雄割拠の時代と今の混沌とした状態、或いは同じなのではと思う
どちらも先が見えない。
(喰えぬ奴よの…)
朱雀は土方を見、自分の言葉で先を見通そうとする土方に多少好感を持つ。
(回転が早いのは嫌いではない、だがそれが逆に命とりになる可能性もある…
こやつは理解してるか…)
さも事も無げに朱雀は話を続ける…
近藤達三人は普段聞けない朱雀の話にのめり込んでいった・・・
暫くの笑談の後……
「そういえば橘は役にたっているか?」
突然瑠衣の話題をする朱雀。
「勿論で御座います
橘が来てから"鬼"の退治数が飛躍的に延びております」
瑠衣の話に即座に反応する土方。
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