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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第9章 "急"


「朱雀様、道場にでもどうですか?
今なら沖田先生と斎藤先生がおられる筈です」

総司と斎藤、どちらも新撰組一二を争う剣豪だ…
朱雀の性質上此処で座って話をしているより道場で試合を見たがる、瑠衣はそう踏んだ。

「面白そうだの、行ってみるか…」

やはり予想した通りに当代様はそちらに気が向く。

「では道場にご案内致します」

近藤は立ち上がり、朱雀様を促す…
うむと一言言い朱雀様は近藤の後について行く…
その後を土方、山南、瑠衣が後を追った。



道場に着くと、そこには待ちきれなかった総司と斎藤が先に試合を始めていた。


 "ガツン…ガン…カツン…"


互いの木刀の合わさる音が道場の中に響き渡る…
攻めては返し、返しては攻める、その姿は舞を舞っているかのようにも見える…
お互いの剣技が高いからだ。


「ほぅ…これは見事な…」

朱雀様も楽しそうに二人の試合を見ている…
近藤も満足げで、山南、土方もまんざらじゃ無いという顔をしてる。

近藤が二人に近付き…

「そこまで!!」

総司と斉藤二人を止める。

総司と斎藤は一礼し、近藤と後ろの朱雀様達を見た。

「二人共、朱雀様に挨拶しなさい」

二人は木刀を置き、朱雀様の前に行き頭を垂れる。

「お恥ずかしい試合を見せてしまいました、私は一番隊沖田総司です」

「同じく三番隊斎藤一です」

「いや、良き試合であった、互いの力量を知り得るからこそ出来る試合よ…」

満足そうに言う朱雀様。

「「ありがとう御座います」」

総司も斎藤も嬉しげだ。

「我も一試合したいの…
沖田と言ったか、相手にならぬか?」

「は…はいっ喜んで相手を務めさせて頂きます!!」

総司にとっては夢のような話である、夕方あれほど熱く語っていたのだから・・・



総司は木刀を二本取り、一本を朱雀様に渡す。

「うむ…
では始めるか…」

お互い距離をとり構える。


(…一撃で行くか、それとも多少遊ぶのか、当代様はどちらを選ぶ??)


総司の力量では朱雀様に勝てないのは必死、だが負かすまでどう出るかの方に興味がある瑠衣。

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