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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第9章 "急"
土方も考え中のようである。
「ともかく宴席を設けてあります、其方に移動しましょう」
近藤はこの場を治める為、宴席の話を持ち出す。
「そうだの、沖田よ楽しかったぞ」
朱雀様も気づいたのかそう言い残し、近藤の後に続く…。
そして瑠衣とすれ違いざま…
((深夜に道場に…))
力で直接頭に響いて来た朱雀様の声…
そのまま近藤、山南、土方と一緒に道場を出て行ってしまった…
(・・・・・・・・)
瑠衣の目は見開き、顔色は青い…
下を向いてはいるが、総司にははっきり見て取れた・・・
深夜・道場ー
灯りも点けず瑠衣は道場の真ん中に佇んでいた
先程の当代様のせいである…
月明かりが照らす道場、自分に何用かと考えを巡らす。
(本来の用か、はたまた…)
どちらにしても良い事ではなさそうな気がしてならない。
そろそろ宴席もお開きになる頃だろう、瑠衣は当代様が来るのをじっと待つ事にした。
道場の外ー
総司がフラフラと屯所内を歩いている。
先程から瑠衣は帰って来てない、朱雀様との手合わせの後で見た瑠衣の顔はこれ以上無いほどに青かった、多分朱雀様に何か言われたのだろう。
そんな事を考え歩いていると、向こうから山崎が歩いて来た。
「あれ?
山崎さん、警護ではなかったのですか??」
確か山崎は朱雀様の警護に回ってる筈…
「あんなぎょーさん朱雀様の忍が警護してたら、わいなんか要らん」
朱雀様一人の為に二十人以上の忍達が屯所内を警護している。
とても自分が入る隙間は無い…だからと言って部屋に帰るわけにも行かずフラフラと歩いていたら総司と鉢合わせしたのだ。
「沖田はんこそ、こんなん夜中にどうしたんでっか??」
自分が此処に居るより不思議である。
「あぁ……
眠れなくて散歩ですね」
基本的に平隊士、用の無い幹部は部屋で待機となっている…
そんな中で散歩って…
「さっきのあれでっか……」
道場の一件は山崎も見ていた、流石に一歩も動けぬまま負けたのが信じられなかったが…
「…私もまだまだですねぇ」
ポリポリと頬を掻き困った顔をする。
「どだい朱雀様に勝とうと思うのが間違いや、神様には勝てへん」
「それは分かっていますがねぇー」
山崎の言葉に苦笑いしか出て来ない。