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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第9章 "急"
「このままでは埒があかぬな」
そう言い連撃を繰り出す当代様。
『ガン‥ガガン‥ガン‥ガン‥』
それを全てを受け止める瑠衣。
「埒があかないのは此方も一緒ですっ!!」
瑠衣も当代様に向けて連撃を出す。
『ガン‥ヒュッ‥ガガン‥』
受けたり避けたり、お互いに我を忘れそうになりながらも、一進一退の攻防が続く。
「このように楽しいのは久方ぶりだのぅ…」
「…えぇ…」
どちら共"神足"も"神撃"も衰えを知らない。
((このままでは勝負がつかん))
二人とも同じ考えに行き着く…
そんな中、当代様の足が止まった!!
「??????」
瑠衣も足を止める
外の二人にはやっと朱雀様と瑠衣の姿が見えた。
朱雀様は向こう側に瑠衣は此方を背にし間合いを開けて立っている。
お互い胴着ではなく着流し姿、相変わらず独特な構えをし隙が全く無い。
「勝負をつけてしまおうかの橘よ…」
当代様の言葉に思いっきり嫌な予感がする。
「・・・・・・・・!!」
当代様が目を瞑り開いた時には、その瞳は赤く輝いてた!!
(不味いっ!!
本気だっ…!!)
当代様は優雅に構え直し、その木刀が淡く光る。
(神力連撃っ!!
間に合うかっ!?)
既に当代様は此方に飛び出す寸前である。
瑠衣は咄嗟に歯で親指を噛み切り、木刀に己が血をつける…
その間にも当代様は飛び出している!!
(間に合えぇっっ!!)
瑠衣の木刀も血の力によって輝き出す…
その瞬間に瑠衣も飛び出した!!
"神力連撃"
朱雀の力を持って刀を強化し、最大"神足"と連突きを繰り出す技。
二人が激しくぶつかる!!!
『ガン‥ガン‥ガン‥ガン‥ガン‥ガン…ドスッ‥ドスッ‥ドスッ!!』
一瞬の出来事…
…吹っ飛んだのは……
当代様だ!!
「ぐぁ"っ…!!」
連撃そのままの勢いで壁まで吹っ飛ぶ!!
"ドンッ!!…ガラガラカラ…"
壁に背を打ち付け、掛けてあった竹刀や木刀がゴロゴロと落ちてくる。
瑠衣もその場に座り込んだ。
「はぁ‥はぁ‥はぁ‥」
さっきまでが嘘のように、その息の乱れは激しい…床に手を突き見えないが、その瞳は赤く変化している。
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