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いじっぱりなシークレットムーン
第12章 Fighting Moon

「さあ、明日の見合いを潰すのは、真下さんと鹿沼さんの力が必要ね。鹿沼さんにとってみても、忍月に入れるチャンス。第一関門の突破口となるから、頑張るのよ」
「はい!」
朱羽を奪還するためには、見合い会場で一時的な勝利を収めるのではなく、その後の戦いが必要なのだと、彼女は言っている。
そしてその戦い方は、きっと心頭滅却の話に隠されているんだ――。
「はい、では次は夕飯を兼ねて、テーブルマナーよ。いい? みっちり稽古をつけますからね、上流界の知識も植え込みます。私がいいというまで寝かせません。そのおつもりで」
「あ、あの……俺もっすか?」
木島くんが恐る恐る尋ねる。
「勿論。あなた達の頑張りが、鹿沼さんの元気になるんだから」
「私頑張ります!」
「……ぐへぇ……俺も頑張るっす」
明るい杏奈と対照的に、木島くんが情けない声を出した。
すまぬ、ふたりとも。
……そしてなんとか就寝になった時、名取川文乃に呼ばれた。
「鹿沼さん。私の切り札よ、あなたへのプレゼント」
見せられたのは一枚の紙。
「これであなたの過去は、無効化できる。私の力によって。……だから、前を向いて、戦いなさい」
その紙の内容を見て驚くあたしに、彼女は……好戦的に笑った。

