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いじっぱりなシークレットムーン
第4章 Secret Crush Moon
 

「で、写真は盗撮されたとして、どう? 香月課長だと思う?」

「正直、わからない。だけど、なんの根拠もないけれど、香月課長は、こんなことしない気がする。こんな……自作自演みたいなこと」

 香月課長が一番、あたしとなにもなかったことを知っているはず。

 もし香月課長が、騙されたという被害者の立場でメールを送り、なにかあったように装ったなら、「プリンを持ってお見舞いに来ただけ」というあたしの反論だって見越せるはずだ。

 それに対応するなんて面倒なことをしなくても、香月課長と相対する、結城にあたしがおぶさった状態の三人のショットを誰かに撮らせた方が、結城と朝帰りしたのを起因とした修羅場と思えるし、あたしは言い逃れできなくなる。

 それにキスしているように見せた写真を、誰かに盗撮させたのだとしたら、課長は複数で動いていたことになる。

――……ひとを信じられなくなりました。


 なんだかこれでは――


――それで利があるならば。


 香月課長になにも利がないように思える。

 ……匿名メールならまだしも。


「じゃあ別の誰かの仕業だと?」

「ん……。香月課長を騙って、送信したのかも」


 社内において、他人のメールアドレスを自分の席のパソコンで使うようにするためには、設定画面でID・パスワードを書き換えるだけでいい。

 そしてそれを管理しているのは――。

 
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