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いじっぱりなシークレットムーン
第12章 Fighting Moon

~Wataru Side~
とうとう朱羽の見合いの日が来ちまった。
俺は、どうしても朱羽だけに押しつけることが出来ず、会場に俺も赴くことにした。きっとそれは、あのジジイも見越しているだろうが。
午前十一時。
朱羽が名取川家から帰ってきたが、風呂に入って背広を着替えるということでマンションにひとまず戻った。
なんだかげっそりしていた気もするが、それ以上に亡霊のように背景に霞んでしまっているのが木島だった。
なにも聞いてもよくわからないが、扱かれたのだけはわかる。時折、ぐへっぐへっと笑いだし、完全におかしな奴だ。
そんな中、三上は疲れた顔をしているものの、木島よりは元気だったためなにがあったのか、カバはどうしたのか聞いてみた。
「鹿沼ちゃんは、支度があると名取川さんに居残りさせられました」
「俺、あのひとが策を練るというから、全部任したけれど、大丈夫そうだったか? カバ、なんとかなりそうだったか?」
「鹿沼ちゃんはやりきりますよ。鹿沼ちゃんも私と同じく、知らないことを知って楽しんでいる面もあったから、苦痛を苦痛と感じずうまくやっているように思います」
「なんだ、カバ突然レベルアップしたのか」
「素直ですからね、彼女。だから名取川さんのアドバイスで、うまく勉強していました」
スーパーカバか。
「私も策というものはよくわかりませんが、それでも名取川さんは鹿沼ちゃんの過去があるから、後ろ盾となれて、忍月財閥の内に入り込めれると言ってました。当主と旧知の仲とはいえ、忍月財閥が排他的で閉鎖的だから、名取川さんですら入り込むのは難しかった……というようなことを」
「当主と旧知の仲?」
「はい。そう言ってました」
俺は知らないぞ。
しかし旧知の仲であるのに、その過去よりもカバの過去の方が、あのひとが動けるというのはどういうことだ?
確かに旧知の仲であるから、シジイもあのひとを門前払いすることは出来るだろうが、それでもカバの過去が不利ならまだしも、なぜ有利になる?
あのひとの考えていることは、わからねぇ!

