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いじっぱりなシークレットムーン
第12章 Fighting Moon

見合いは、和室で行われる。
双方両親も付き添い、そして飯を食う。
ここは針の筵(むしろ)だ。
ジジイとババアがカバ、お前を見下すだろう。
それでも頑張れ。
今度はお前が、朱羽のために努力をする番だ。
そして――襖が開き、相手が入ってくる。
おーおー、化粧ばっちりじゃねぇか。
堂々と板に付いた着物姿が、本来の姿ですか。
「初めまして。真下衣里と申します」
畳に両手をつけての、優雅な挨拶。
生まれついてのお嬢様の出現に、朱羽の目が見開いて固まっている。
そうだ。
近代の成り上がりの忍月財閥よりも格上なのは、古くから続く真下家だ。
――私が恐らくは、キーマンになると思うんです。だからやらせて下さい。今度は私の力で、陽菜と香月を助けたいんです!
家を出た衣里が、カバと朱羽のために、八年ぶりにまた家に戻った。
家を出た理由は、政略結婚をさせられるのが嫌だったからのはずなのに、政略結婚を目論んでまた家に戻った。
そのためにあいつがどんな苦境に陥るのか、わかっていながら衣里は、真下家に戻って、親を説得したんだ。
格下の家との見合いを、名取川文乃が口添えして、踏み切らせた――。
……真下家からの申し出に、ジジイはきっと喜んで見合い相手を取替えたはずだ。元見合い相手のことなど考えずに。
「皆さま、本日はよろしくお願いします」
……カバ、腰抜かすなよ。

