この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
いじっぱりなシークレットムーン
第12章 Fighting Moon

なんとなくだけれど、当主は当主なりに孫を愛している気がした。だが、孫から愛されていないと知って、ダメージを受けたようにも思えた。
それでも素直になれない当主は、威嚇を始める。
「ワシにたてつくものは、皆……」
元気がないままに――。
「だから助言者がいないんです。孫は本音を言えず、反発するだけになる」
「………」
「ご当主が後継者にしたいと思う孫と、意思疎通がまるで出来ていません。それをまず焦って下さい。危機的です」
「………」
「後継者がその気にならないと、会社は発展しません。あたしの会社も今社長が息子になりました。しかし父親は、息子のためにと用意した会社を、押しつけようとしていなかった。息子は自ら決心して、会社をもっと盛り立てて父親を安心させようと、躍起になっています。羨ましいと思いませんか! それが意志を継ぐというものでしょう」
「………」
「朱羽はそれに賛同しました。彼がやる気を見せたのは、他人の会社です。彼を跡取りにしたいのなら、まず忍月でやる気を出させて下さい。彼が忍月に居たいと思わせるものを作って下さい」
「ふふ……」
静まりかえった中、馬鹿にしたように笑ったのは……、
「ふふふふ、あははははは」
朱羽の義母。
「なにも知らない庶民に、ここまで言われるなんて忍月も大したことがないわね。お義父さま、なめられているんですよ? 人情論を持ち出して、庶民じみた考えが、我が財閥で通用するとでもお思いか!」
ああ、やはりボスはこの女だ。
彼女には、血の繋がる家族がいないため、まるであたしの言葉が効かないのだ。
「我らに口を利こうと思うなら、まずそれだけの身分になってから言いなさい。この下民がっ!」
「……あなたは、その下民ではなかったのですか」
あたしは静かに言った。
「下民は、忍月財閥に入れば上民になるものなんですか? 忍月の血を一滴も引いていないのに」
「環境が私を作った。お前にとやかく言われるものは……」
「つまり、イミテーションですね、あなたの地位は。あなたが思いこんでいるだけで、あたしとなんら変わりがない。いや、あたし以下かもしれない」
「なんだと!?」

