この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
いじっぱりなシークレットムーン
第12章 Fighting Moon
 

「い、いや……そんなことは……」

「でしたら朱羽さんは、彼女に返せますか? そこの渉さんや兄弟に頼ることなく。ご自分でどなたかを養子にするなり後継者をたてると?」

「そ、それは……」

 言い淀む当主は、見合いを断念する気はないようだ。

「お父様、どうお思いになります? この夫人がしたことは、並々ならぬものと思います。うちが断ったために、他の方が犠牲になると思ったら、忍びないわ! 

だとしたらお父様。ご当主が、誰の目から見ても客観的に、私の命が安全な環境を作って下さったのなら、考えてもよろしいと思うの」

 ああ、衣里は……他家にいかぬよう、繋ぎ止めてくれている。

「いかがかしら。ご当主、それが出来るのなら、お見合い続けたいと思います」

「……っ」

 当主は、微妙な顔つきだった。

「あら、お嫌なら仕方がないわ。私は良心に則って、これ以上他の方が犠牲にならないように、他家に声がけをしたいと思います。見て見ぬふりは出来ませんもの。もしも忍月さんとの見合い話が持ち上がったら、命が惜しくば、本家に行くな。それなら婿に取れと」

 つまり、後継者としての見合いの意味はなくなる。

 他家が忍月の力を貰うような形になってしまうのだ。

「犠牲になど……な、美幸さんはそんなことしないよな」

「そ、そうですわ。想像力が逞しいお嬢さんだこと……」

 空々しい。

 そう、衣里の家と見合いをしてしまったがために、衣里に脅される形になったのだ。

「でしたら、私……彼女を。朱羽さんの恋人だという名取川さんのご令嬢を、私の代理として忍月のお屋敷に遣わして頂きたいわ。いかがかしら、陽菜さん。私の代わりに安全かどうか見極めて貰えます? それとも、朱羽さんを奪おうとする女の頼みはお嫌かしら」

 衣里の指名をあたしは受けた。


「謹んでお受けしたいと思います」

 
 あたしは、過去最高の出来となるだろう、畳に手をついてのお辞儀を衣里に披露することとなった。
 
/1291ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ