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いじっぱりなシークレットムーン
第12章 Fighting Moon

しかしその直後、強張った顔になって衣里に向く。
「ということですが、真下さんは?」
「……はい、私もそれでいいです」
衣里は諦観したように言った。
「当主、美幸さんは?」
ふたりは頷いた。
そこには、負けるわけがないという自信がある。
「では、私は陽菜さんが監視役に根回ししないように、名取川家にいる彼女の傍に、この件に関係しない……当主も陽菜さんもご存知の人物を派遣し、陽菜さんや名取川さんに外部との連絡を切ってもらいます。
その第三者から、陽菜さんの傷を癒えた時点で私に連絡を貰うようにして、私が当主にご連絡します。
当主が謝罪をした次の日、監視役に発言させましょう。私は誰かわからないので、当主から連絡頂けますか?」
「わかった」
それは……当主からなら、監視役はそちらについてしまうじゃないか。
それをわからないはずはないのに、専務はそう取り決めてしまった。
「朱羽と俺は、本家にいます。俺との連絡は、名取川さんの家に派遣するそいつにするようにして下さい。公平を期すため、皆さんご協力お願いします」
朱羽――。
あたしの傷は数日で癒えるだろう。
だけど朱羽と離れている傷は癒えない。
必ずあたしは勝ってみせる。
勝って、当主と美幸夫人を説得して見せる。
衣里と専務が作ってくれたチャンスを、あたしは無駄にしない。

