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いじっぱりなシークレットムーン
第12章 Fighting Moon
 
 

 お前が当主から湯飲みをぶつけられた時、怒りを覚えていたのは、衣里だけではない。

 当主に怒り狂って殴り出しそうな……そんな朱羽の腕を、俺はずっと強く握って、目で制していた。あいつはずっと怒りに震えていたんだ。

 止めたのが俺ではなかったら、あいつは暴れただろう。

 カバには悪いが、俺は……お前のその血だらけの姿にインパクト効果を期待した。

 朱羽がお前を庇えなかったのは、俺のせいだ。
 助けてやけなくて、すまない、カバ。

 だけど、それがあったから、お前の言い分は強さを増して、鬼気迫るものがあった。お前は自覚なかったろうが。

 だが、やはり相手は堅物で、ジジイの情が僅かに揺らいでも、利己主義的な考えを変えるまでには至らなかった。

 このままでは、せっかく衣里が引き留めてくれていたのに、ジジイが見合い先を変えて、問題が延々と続くという不安は、俺から引くことはなく。

 原因は――、見合い先がいるこの場は、ジジイもババアも猫を被って本音を出せないから、それに尽きる。

 本音を出せないというのは、線を引くことで、力で場は支配出来なくとも、自分を保身出来る環境にあるということ。

 つまり多少のダメージを受けても回復できる。

 だけどカバ。

 お前はそうした環境の中で、ジジイを僅かにでも揺さぶり、鎧に穴を開けた。つまりお前とジジイの一騎打ちとなれば、その穴を広げてジジイをやりこめることも、夢ではないことを俺は確信した。

 ジジイもババアも、奴らにとって激震であるカバを、本家に一歩も入れずに身を守ろうというのなら、"客観性"という理由を逆手にとって、俺はカバを本家に入れてやる。

 それまで朱羽は俺が、カバは名取川さんが守ってくれるだろう。

 後は多少の彩りは、事前の打ち合わせ通り結城らに任せて、カバと朱羽を断絶させるふりをして、俺は中立の立場に立っているようなふりをして、ことを進めるだけだ。
 
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