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いじっぱりなシークレットムーン
第13章 Final Moon
「『また、美幸さんが背後にいらした忍月コーポレーションの副社長におかれましては、完全に私とは手を切りましたこと、改めてご報告いたします』」
うわ、美幸夫人がバックにいたのかよ。
その魂胆はわからないけれど、もしかするとシークレットムーンを潰すことで、朱羽を手に入れようとしたとか?
そんな私情で、会社が危機にさらされたの!?
「『今後はあなた様の息がかかった当主を仕立てようなど身分不相応のことは考えず、どうぞ忍月の未来を考え、ひっそりと亡き次期当主の供養をなさって下さいますよう。
また、千絵から監視役のことを聞きました。忍月のご当主があなた様に口外するとは思わないので、恐らく当主がかけた後をリダイヤルし、私に繋げたと思いますが、千絵が承ったものは千絵に考えさせます。そこには私の意志はありませんこと、ここに宣言しておきます。
向島宗司』」
息がかかった当主……つまり副社長を当主にしようとしてたとか?
もしかして、肉体関係とかあったのかしら。
副社長が駄目だから、次に朱羽にしようとしてたとか!?
「どういうことだ、美幸!」
「そ、その……」
「監視役はふたり共、朱羽がシークレットムーンに必要だと断言した。ならばここで名取川陽菜嬢に客観性が持てたことになる」
専務の声が響き渡る。
「だとすれば、陽菜嬢は本家にて、衣里嬢のご指摘通り、美幸さんに危険がないのか、調査して頂きたい。このように手を回して色々なことをしているようなので、俺か朱羽立ち会いの元、記録などお探し下さい」
「わかりました」
うおっ、家捜しか。
こんな展開になるとは思っていなかった。
「渉さん、お待ちになって! 忍月の本家に、他人をいれるなんて!」
見られては駄目なものでもあるような慌てぶり。
「はっはっは。美幸さんでも本家に入れるのだから、陽菜嬢でも入れるでしょう。陽菜嬢は、名取川さんの娘ですよ?」
専務が冷たく言い、名取川文乃がそれに同調した。
「美幸夫人。陽菜の後ろには名取川家があります。陽菜だけではない」
すると、衣里のご両親が顔を見合わせて言った。
「衣里がここまで熱くなれる月代さんの会社なら、私も応援したいと思います。ですので、真下は陽菜さんに協力する衣里の後ろに」
「お父様、お母様!」