この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
いじっぱりなシークレットムーン
第13章 Final Moon
 

「だけど父にひとつ感謝したいことは、俺に弟がいたということ。俺と同じ傷と悲しみを、朱羽達が持っていたということ。それで俺は、ひとりではないと思えました。たとえ傷の舐めあいと言われても」

「それは俺も同じです、渉さん。どうしようもない母がいて、それでも俺がなんとかしなくちゃいけなくて、そのストレスに心臓発作で死に目にあったのを、渉さんが助けてくれた。母が殺されたとしても、祖父に殺されそうになったとしても、俺には渉さんがいて、ひとりではなかった」

 朱羽は当主を見た。

「俺は忍月が嫌いです。俺と渉さんの母を殺した美幸夫人が嫌いです。それを黙認して、都合のいい時だけ俺を必要とするあなたが嫌いです。だけどあなたは、渉さんを育ててくれていた。殺さないでいてくれていた。渉さんが居て、忍月があったから陽菜を引き寄せて貰えた。それだけで俺は……あなたを許せそうな気がするんです」

「朱羽……」

「俺は彼女が好きです。彼女が俺の未来を作ってくれた。彼女と共に居たい。彼女と離れたくない。彼女以外と結婚したくない!!」

 朱羽はあたしの手を握りしめて頭を下げた。

「彼女を諦めろというのなら、今ここで俺を殺して下さいっ!!」

 あたしの手が震えた。

「あたしも覚悟ができています。命をかけて、朱羽を愛してます! あたしは、身分差で諦めたくない。あなたと名取川さんのように別々の人生を歩みたくないんです!」

 当主はなにも言わなかった。

「当主。俺にも、そういう女がいます」

 専務が言った。

「母が死んだ記憶を上書きする、愛する女がいます」

「渉……」

「殺されたくなかった。俺は隠し続けようとしたけれど、だけど朱羽とカ……陽菜を見て、俺も言いたくなった。……沙紀っ!」

 専務が声を上げた。

「沙紀、いるんだろ!? 俺の女として、出てこいっ!」

 ドアが静かに開き、男装の沙紀さんが出てきた。

「え、吾川……」

 沙紀さんは専務の隣に行って、頭を下げた。

「私は女です。前に一度お会いしました、専務の……渉の秘書をしており、……渉と、おつきあいさせて頂いています」

 沙紀さんの目は強かった。
 
/1291ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ