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いじっぱりなシークレットムーン
第13章 Final Moon
「渉や朱羽くんにも言われたの。陽菜ちゃんになにがあるかわからないし、陽菜ちゃんは朱羽くんの部屋を拠点とさせようと。私もそうさ、夜は渉の部屋。あいつ、使用人部屋に入ってくるから、女とばれちゃうし!」
……女だとばれるようなことをしかけているんだ、専務。
「それに、ここの使用人に見せつければいい。実際朱羽くんは脇目もくれず、陽菜ちゃんだけなんだし、他の女は色目使っても勝ち目がないと、思い知らせてやりなよ! 本当にむかつくよ、自分勝手な奴らばかりだから。渉にも色目使ってるんだよ!? だから私、思わず投げ飛ばしちゃった」
からからと笑う沙紀さん。
うん、女だとばれにくいね。
「私、渉のためになる使用人を見極めていようと思う。渉が当主になると決意したのなら、私も全面的に支えて、この本家を改革しようと思うの。だから陽菜ちゃんも観察しててね」
「わかった。沙紀さんは、将来ここに住むの?」
「渉が居るところに私は行く。だから渉がここに住むというのなら、私も住むわ。陽菜ちゃんは? ここで朱羽くんと陽菜ちゃんと四人が住んでいたら、鬼に金棒、私嬉しいんだけれど」
「沙紀さんとあたしの立場は違うでしょう。沙紀さんは当主の夫人になるんだし」
「でも朱羽くんも当主になるんだよ?」
「うん? そうみたいだね、シークレットムーンにいながら」
「シークレットムーンに、ここから陽菜ちゃんと通えばいいじゃない?」
「いやいや、同棲はまずいでしょ」
「同棲? ちがうよ、陽菜ちゃも次期当主夫人になるじゃない」
「え?」
「え?」
「……まあここらへんの意識改革は、いずれ朱羽くんがするだろうから、私はもうなにも言わないけど、だけど渉も私も、朱羽くんと陽菜ちゃんが居てくれて凄く心強いよ」
「あたしも沙紀さんと専務がいて心強いし! あたし達で出来ることをしていこうね!」
「そうだね、まずは使用人をシメるわ、私」
「あははは。頼もしい! あたしは美幸夫人とまずお話してみるわ」
「なにかあったら、呼んでね」
「了解です」
沙紀さんなりに本家の改革を目論んでいる。
あたしが朱羽のために出来ることはなんなのだろう。