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いじっぱりなシークレットムーン
第13章 Final Moon
 
 

 後から沙紀さんが、お盆に紅茶を乗せてやってきた。

 沙紀さんは使用人としてここの家に居るとはいえ、なんだか申し訳なくなってくる。本来なら、この面子では新参者のあたしがしなくちゃならないのに。

「いいのいいの、陽菜ちゃん。私、会社でも慣れてるから。気にしないで、腰かけていて。私がいる限り、毒入りなんて心配ないし。それにこれ、専務室から拝借したものだから」

 沙紀さんはにこりと笑った。

「お前、あれを持ってきたのか!?」

「いいでしょ? 渉だけじゃなくて、皆で飲むの!」

「沙紀さん、一体どんな紅茶を持ってきたの?」

「S.F.T.G.F.O.P.。このひと、自分専用にこんなもの使ってるのよ?」

「お前だって、専務室で飲んで……」

「それはいいのよ! はい、忍月の経費で買っているものだから、何杯でも飲んでね!」

 ティーパック派のあたしはわからなくて、朱羽を見た。

「SFなんとかってなんのこと?」

「スペシャル・ファイン・ティッピー・ゴールデン・フラワリー・オレンジ・ペコ」

 なんでしょう、その呪文。

「最高等級にあたる紅茶の中でも、特に素晴らしい希少なものをS.F.T.G.F.O.P.と言うんだ。ゴールデンティップと呼ばれる紅茶の木の先端にある、金色がかった芯芽をを多く含む。だけどこうした等級は、世界で基準が決められているものではなく、生産者と販売者が勝手に決めているとも言われている。だけどまあ、美味しいことには変わらないけれど」

 ティーパックで淹れたものとは、色も匂いも違う気がする。

 いつも砂糖をちょっぴり入れていたけれど、ストレートでまずは飲んでみてと沙紀さんに言われて、一口飲んでみたらこれが美味しい。

「これ美味しい! うわー、これも紅茶なのか!」

「でしょでしょでしょ!」

「仲がいいなあ、お前ら」

 専務がソファで足を組み、ふんぞり返るようにして笑いながら片手で紅茶を飲み、朱羽は正しい姿勢のまま優雅に紅茶を飲んでいる。

 対照的な仕草ながらも、同時に口をつけるあたり、この兄弟だって仲がいい。
 
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