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いじっぱりなシークレットムーン
第13章 Final Moon
「でもよく集めたね、沙紀さん。こういうのって、金庫とかよく探さないといけないところに隠してあるものじゃない? 美幸夫人は家にいるんだし、見つけるの大変だったんじゃ……」
すると沙紀さんは専務と顔を見合わせながら、肩を竦める。
「結構楽勝だったよ? 私、あのひとに気に入られたみたいだし」
「凄いね! あたしなんか嫌われているのに」
「ははは、男と思われているから気に入られているみたいで」
「へ?」
「まあこれは後々」
一体どうやって気に入られたのかよくわからない。
「話を戻すぞ。それをお前の切り札にしろ。どう使うかはお前に任せる」
「はい」
「あのジジイ……お前がババアを理解したいと言ったところで表情を僅かだけれど崩した。お前にも言ってたんだろ? ババアを理解して欲しいって」
「はい」
「お前がどう理解してどう結論出すのかはわからねぇけど、もうあとそれだけになったのは、お前のおかげだ」
「え? あたしはなにも……」
「"拒絶するな。理解しろ"。お前の言葉は、俺も朱羽も心になにか響いたものがあった。だからこそ、もしも俺達から障害が除けば、俺が忍月を改革してやってもいいと思えた」
「渉、偉そう」
「うるさいな。嫌な要素ばかりあったから、当主になるのなんて絶対嫌だと思っていたが、嫌な要素がなくなれば、どこまで俺の力が通用するのか、見てみたい気にもなった」
専務は、本当に仕事が好きなんだと思う。
やり手だと噂されるのは、こうした好戦的な姿勢から生み出された結果なのかもしれない。