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いじっぱりなシークレットムーン
第13章 Final Moon
「俺が忍月を改革して朱羽に引き継げば、俺が出来なかったことや、失敗したところを、朱羽がフォローしてくれるだろうし」
「俺は、尻ぬぐいですか!」
「ははは。なあカバ。勝手に、シークレットムーンを財閥の直下にと言っちまった。結城達が嫌がる……」
「いいえ、その心配はありません。皆は、専務が大好きだそうです。だから受けた恩を利益で返したいと言ってましたから、きっと大出世に結城も、会長も喜ぶでしょう。専務と朱羽のために、シークレットムーンを動かしていきたいと思います。今後もご教授、よろしくお願いします」
あたしが頭を下げると、専務は笑った。
「俺が忍月コーポレーションの社長にもなるつもりだ。こんな状況になるのなら、結城は今慌てて社長にならなくてもよかったか」
「いいえ。タイミングが必要でした。シークレットムーンは、結城を中心として仕事で大きくなり、専務にご恩を返しながら、もう誰にも潰される危険がない頑強な会社にしていきたいと思います。結城だけではなく朱羽も中枢に必要なんです」
「陽菜……」
「そのために、当主の座を嫌がっていた専務を、当主にさせてしまうことになり、申し訳ありませんでした。あたしもシークレットムーンも、専務についていきます。専務にとって力になる、そんな会社にします」
「ああ、わかった。朱羽を次期当主にさせて、お前もいいのか?」
「はい。当主になろうとも、朱羽はシークレットムーンにも来て貰いますから。朱羽は大変だけれど……、でもいい? シークレットムーンと財閥の当主、頑張って貰える?」
「勿論。その前に渉さんに鍛えて貰うつもりだ。渉さんは元々財閥のこととか当主のを見ていてわかっているけど、俺は一からだし。そこまで大変な掛け持ちにはさせないつもりだ」
「よかった。シークレットムーンの皆もそこらへんフォローして応援してくれるからね」
「おいカバ。お前人ごとのように言ってるけど、掛け持ちして大変になるのはお前もだぞ? お前、シークレットムーン辞める気、ねぇんだろ?」
「はい。まったく辞める気はなく、朱羽と一緒に働いていきたいと思ってますけど、なんであたしが大変になるんですか?」