この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
いじっぱりなシークレットムーン
第13章 Final Moon
「陽菜に頑張ってくれたご褒美上げなきゃ」
朱羽は両腕であたしを横抱きする。
「な……っ」
「あのひとと対決するのに、エールを注いであげる」
朱羽は歩き出す。
「ちょっと、朱羽!」
そして、出入り口ではない側面についているドアを開ける。
そこは寝室だった。
帝王ホテル並のキングサイズのベッドの上にあたしを下ろすと、あたしの顔の両側に手をついて、上からあたしを覗き込む。
「あなたのいないベッドで、ひとりで寝ていたのが辛かった」
「朱羽……」
朱羽の辛そうな表情に切なくなってくる。
「お見合いの後、あなたと愛し合えると思ったのに、この部屋に閉じ込められて、スマホまで取り上げられて、あなたが恋しくてたまらなかった」
「……っ」
「わかってる? 陽菜。俺は毎日あなたに恋をして、胸の奥があなたの愛おしさに膨らんで破裂しそうで、苦しい。それくらい、あなたを愛してる」
あたしの心臓がドクンと脈打った。
「あなたが額に怪我をしたのを庇ってやれなくてごめん。LINEではなくちゃんと言いたかった。それでも俺のために戦ってくれたこと、俺は感動して、何度も惚れ直したよ。こんなに好きなのに、あなたを抱きしめられなくて、どれだけ泣きたくなっただろう。どれだけただ座っているだけの自分の不甲斐なさを嘆いただろう」
「朱羽……」
「凄く会いたかったよ。あなたを少しでも感じたくて、あなたにあげたネックレスに何度もキスをしてた」
朱羽は背広を脱ぎ、ネクタイをしゅるしゅると音をたてて取る。
目だけはあたしを捕えたまま、誘惑するようにシャツのボタンをふたつ取った。
首元に煌めくのは、あたしが貰い、そしてお守り代わりに渡したネックレス。
朱羽はネックレスを手にして、妖艶に口づけた。
まるであたしがキスをされているように。
思わずこくりと唾を飲み込んだあたしを見て、艶美な目が細められる。
「ここで、あなたを抱くよ」
ぞくりとした。