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いじっぱりなシークレットムーン
第13章 Final Moon
 

「朱羽……」

「いるよ、ん……っ」

「あああ、朱羽っ」

「どこまでも、いるよっ、あなたの隣に」

「居てね、ずっと、一緒だよ?」

 果てに向かって声も息も荒くなる。

「ああ。俺の……お嫁さんになってね。俺を幸せにして」

「うん、うん。朱羽のお嫁さんになる。朱羽の赤ちゃん産む」

 絡み合う舌。


「陽菜、陽菜っ」

「ああああっ、朱羽、朱羽――っ」


 朱羽の汗と共に濃厚さを増した彼の匂いに包まれながら、果ての到来は口づけをして同時に迎えた。

 朱羽が苦しげな顔をして、あたしに抱きついて、欲の塊をあたしから引き抜いた。

 それを見て、あたしは無性に泣きたい気分になった。

 ずっと朱羽と繋がっていたい――。

 朱羽が好きでたまらない。


「朱羽、凄く好き……。どうしよう、好きで好きで胸が張り裂けそう」
 
 朱羽は笑ってあたしを抱きしめながら、頭を撫でてくれた。

「もっと俺を好きになって? 俺も……いつもそうだよ。泣きたくなるほど、陽菜がもっと好きになる。触れなければ寂しくて仕方がないのに、触れたら好きでたまらなくなって寂しく思うこともある。陽菜をこうして俺の腕に閉じ込めれたらと思うよ」

「いいよ、閉じ込めて」

「……早く、あなたと結婚出来るように頑張る。もう俺は、あなたを恋人と呼ぶだけでは満足できなくなってしまった。……あなたを、俺の妻として俺の腕の中に閉じ込めるから」

「ん……」

 あたしは嬉しくなって、涙を見せまいと朱羽に抱きついた。


 ……頑張ろう。当主にわかって貰うために。

 
 
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