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いじっぱりなシークレットムーン
第13章 Final Moon
 
 
「せっかく会えたんだから、もっと俺の方だけに向いてて? 俺の腕の中で、俺のことだけを考えていてよ。他のことすべて忘れて、セックスをしていた時みたいに、俺に溺れてよ」

「……っ」

「俺、まだあなたが不足してるんだ。それくらいあなたが恋しかったのに、あなたはたった一回のセックスで、満足出来ているのが悔しい」

 朱羽の手が襦袢の中に入り、あたしの耳をなぶる。

「陽菜、俺のことを考えて?」

 ゆっくりと揉み込まれる乳房。

 あたしの身体に慣れた手は、あたしがどういう反応をするのかよくわかっている。

「考えてる……っ」

 頂きを触れられずに焦れるあたしは、上擦った声を出した。

「考えてないよ、あなたは着物の方が大事で、俺を置いてここにいるじゃないか」

 拗ねたような声と共に、耳朶をちゅっと音をたてて舐められた。

 ぞくっとした。

 それは、繋がる喜びと充足感に心身を震わせていた、あの……身体の芯から感じる快感を求めるかのように、ざわざわとした触手のようなものを全身に広げていく。

 ぬめった熱い舌が耳殻の溝を這い、悩ましげな息と共に一気に耳の穴に入って来て、足ががくがくとした。

「俺から離れたお仕置きをしないとね」

 朱羽は別のクローゼットを大きく開けると、扉の内側が鏡になっていた。

 そこには、朱羽に耳を舐められて気持ちよさそうな顔をしたあたしと、襦袢の中にもぞもぞと手を顎かしながら、挑発するように鏡の中のあたしを見つめている朱羽が居た。

 いつもここまで近くで、愛撫されているところを鏡で見たことがないあたしは、羞恥に朱羽から離れようとした。

「駄目。いつも見せているのに、自覚がないあなたにちゃんと自覚して貰わないと。あなたが俺に触られて、女になっていく様を」

 鏡の中のあたしの襦袢が広げられる。
 
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