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いじっぱりなシークレットムーン
第4章 Secret Crush Moon
 


「おい、あいつは俺に自白したぞ」


 そう言ったのは、椅子で伸びをしてから愉快そうに笑う結城。


「すべてはお前の単独行為でお前の責任だと」

「違う、彼女はそんなこと言うはずない!!」


 江川くんが青ざめた顔で怒鳴った時、課長が笑った。


「今、結城さんは誰だと特定してませんでしたが、"彼女"なんですね」

「あ……」

「実は私、その八時に二階でその彼女に言われたんです。あなたがストーカーしてつきまとうのが困っているから助けてくれと」

「違う、違う、違う!! 三橋さんは……亜子さんは!! 俺と結婚すると言ってくれた。メールを皆に送れば、俺の嫁に……」


 ああ、言っちゃったね。

 結城が笑って言う。


「香月課長は"彼女"としか言ってないぞ、江川」


 続けて衣里が言った。


「ねぇ、江川くん。三橋さん、結城にフラれて傷心だったの知ってた? それ、ついこの前なんだけれど。君と結婚すると言ったのはいつ? ……ねぇ、本当に二股かけてたのは誰なのかなあ?」


 ……もう決定的だった。


 課長と結城と衣里が示し合わせていたのかどうかは関係ない。この三人の切り返しで、江川くんが課長を騙ったメールを送ったことがわかったのだ。

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