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いじっぱりなシークレットムーン
第13章 Final Moon


 ***


 くっそ~!

 掃除をしてもしても、なにかを壊される。

 だけどここでめげるあたしじゃないんだよ。

 壊された花瓶は、無表情で分厚い瓶底眼鏡に、ひっつめ髪をしたリーダー的なベテランさん……シゲさんと呼ばれる、年齢不詳だけど最高齢と思える女性が教えてくれた倉庫から調達出来た。

 シゲさんは、分厚いレンズ越しに見る目の大きさと、横から見る彼女の目の大きさに著しく違いがあり、どれだけ近眼なのか気になる女性だが、まったく表情が変わらず、鉄仮面女という表現に相応しい。

 つくづく朱羽が美形でなかったら、冷たい眼鏡姿のキラーン!もまた印象も変わっていただろうと思う。

 倉庫と担当している場所は端と端に位置する。取り囲むように歩かないといけない。

 倉庫だけでも、あたしのマンションのリビングふたつ分はある。

 なんだよ、あたしの家は倉庫以下かよ。

 木の箱やら葛籠(つづら)やら、宝箱のようなものまでゴロゴロと置かれ、壷は最奥の棚に並べられていた。

 そこから壊れてしまったものの代わりを補充するわけだが、壊された分をまかなえるだけの壷があるこの家って、壷屋敷かよ!

 すべての財閥がどうだかわからないけれど、倉庫にあるすべての壷、由緒正しいような立派なものに見えるんだけれど、これ、勝手にぼんぼんと壊されてよかったものなんだろうか。

 何度も壊して壷を調達することに、一応探してお伺いをたてる鉄仮面女から、非常に侮蔑めいた眼差しが向けられていたけれど、あたしは壊されたということは黙っていた。

 だってどう考えたって、こんな大きい花瓶に水を入れたら重くて、そう簡単に動かせられないじゃん。全力で台から落とさなきゃ。

 毎回倉庫から大きな花瓶を両手でよいしゃよいしょとここまで持ってきて、水を入れたものを筋肉ぴきぴき言わせながら台に持ち上げて。窓を開けてすぐ広がる中庭から、真っ暗の中どんな花かもわからないで摘んできたのを、名取川さんに唯一褒められたセンスで活けて。

 さあ帰りましょうという時に壊すなんて、どう見ても自虐的な痛い子としか思えないし、意味不明でしょう。

 
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