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いじっぱりなシークレットムーン
第13章 Final Moon
 

「すみませーんっ!! 助けて下さーいっ!!」

 叫んでみたが、外からの反応はない。

 このままだと、あの気味悪い男に料理されてしまう。
 
 自業自得とはいえ、ぞくりとしたものが背中に走る。

「……っ」

 あたしは深呼吸をして、頬を叩いた。

 危険は承知の上で使用人をしようと思った。

 こんなことで、怯えてどうする!!


 月明りが象る中の様子は、車のようなものを浮かび上がらせる。

 近づいて見ると、確かに車だ。

 しかし塗装が剥げて錆びていて、これは、重い壷を動かした程度では、到底動くものではない。

 空間の中は車しかないらしく、この車をドアまで引き摺るわけにもいかなければ、ルーフの上でジャンプして格子状のところにぶら下がるには、ターザンでも無理だろう。距離がありすぎる。

 後部座席の鍵が開いていた。

 ドアを開けると、中からなにかが飛び出てあたしの身体にぶつかり、ごろんごろんと回転してあたしの足元で止まった。

 それは――、
 
「なに!?」

 ひとの頭。

 長い髪を口元に絡ませ、こちらを見ている。

「ひっ!?」

 悲鳴を上げようとしたあたしだが、それがマネキンのような人形の頭であることに気づいて、心から安堵する。

 この中で、屍体と仲良く居れるほど、あたしの神経は太くない。

 中からがらがらと出てくるのは、人形以外にも子供用の玩具が大半だ。

 とても汚れていて、かなり昔のものなのかもしれないが、なぜこんなところに詰められているのだろう。

「なにこれ……」

 しかも、車の中から出てきたものはガラクタや人形ばかりで、ドアをよじ登る踏み台にもならない。

 さて、どうする。

 使用人達は、あの最初から気味悪かった歯っ欠け男に食われることを予想して、あたしに外の備品倉庫など嘘をついて、外に行かせたのだろうが、夕食時に顔を合わさない朱羽や専務があたしがいないのがおかしいと思ってくれるか、それとも歯っ欠け男が戻ってくるのが先か。

 中に入ってきた時に逃げる?
 ここには武器もないし、もし逃げられなかったら?
 
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