この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
いじっぱりなシークレットムーン
第13章 Final Moon
考えろ、それは最終手段。
まだあたしがやれる方法はあるはずだ。
「………」
こうなれば、もう中からひとがいるよアピールをするしかないでしょう。
まずはやってみないと!
扉をぶち破れないとしても、暗闇に物音がしたら、もしかするとひとが来てくれるかもしれない。
「誰か――っ!!」
あたしは大声を上げながら、助走をして勢いをつけた肩をドアにぶつけた。いわゆる体当たり、ショルダーアタックというものだ。
ドガッ!
同時にミシッと軋んだ音がした。
ドアは木製で古いのだろうか。
もしかすれば、体当たりをし続ければ、破れるかも。
ドシンッ!!
ミシッ。
「穴……空きなさいよっ!!」
ドシンッ!!
ミシッ。
「あ~、なんて頑固っ、忍月みたいっ!!」
ドシンッ!!
ミシッ。
「なんでやっとの思いでここまで来たのに、こんな時に、こんな場所で!!」
ドシンッ!!
ミシッ。
「あたしは立ち止まっていられないのよっ!!」
ドシンッ!!
ミシッ。
泣けてくる。
肩が痛い。
それでも――。
「あたしはっ、ここでおとなしく食われるわけにはいかないのっ!!」
ドシンッ!!
「開けっ」
ドシンッ!!
「朱羽――っ!!」
ドシンッ!!
「陽菜ちゃん!? そこにいるの!?」
突然ドアの外から聞こえたのは、確かに沙紀さんの声。
「沙紀さん!? あたしよ!! ここに閉じ込められたの!!」
ガンガンと拳で叩いて、あたしはここにいるよアピール。
「閉じ込められた!?」
嬉しい。見つけて貰えた。
「沙紀さん、鍵かかっているの、いへへへと笑う男が鍵持ってる」
「陽菜ちゃんちょっと横にどいてて」
「へ?」
「危ないから」
そう言われ、首を傾げながら移動したあたしの前で、
「は――っ!! とりゃあああああっ!!」
そんな勇ましいかけ声と共に、ドアがあたし側にバタンと倒れた。
月夜に浮かぶのは、パンツルックの沙紀さんが片足を伸ばしていた姿だった。