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いじっぱりなシークレットムーン
第13章 Final Moon
朱羽と沙紀さんが来た。朱羽からこっそりと充電がされているスマホを渡された。
沙紀さんは当主専門らしい。
「あれ、お料理遅いですね。ちょっと見てきます」
沙紀さんがそう言って引き返そうとするから、あたしも下に降りた。
沙紀さんと一緒は心強い。
そう思いながら厨房につくと、そこにはイライラしたシゲさんがいた。
「まだ帰って来ないの!?」
一体何事かと沙紀さんと聞いてみると、今日は当主が中華を食べたいと言われていたのに、材料と調味料が不足していて完成出来ないようだ。
「ありえないわ……。こんな初歩的ミス……」
メイドのひとりを買い物に行かせたが、まだ戻ってこないとのこと。
形になっているのは、とろみのない麻婆豆腐だそうだが、片栗粉がないらしい。
「代用出来る小麦粉は?」
「それが、小麦粉落としてしまったらしくて、すべてないの。それで買いに行かせたら、三十分は帰って来ない」
シゲさんはため息をついて項垂れた。
「ジャガイモはありますか?」
あたしは言った。
「ジャガイモ?」
「はい。片栗粉もデンプンで作られているので、ジャガイモをすり下ろせばとろみが出ます」
「ジャガイモはあるけど……」
片栗粉や小麦粉なんていつも、うちに揃っているわけではない。そんな時にジャガイモがあれば代用する。……ネットサマサマだけれど。
「シゲさん、とろみでました!」
ベテランさんに近く、調理補助を任せられているらしいメイドが声を上げる。