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いじっぱりなシークレットムーン
第13章 Final Moon
材料があるのは、トマト、ジャガイモ、カボチャ、人参、ショウガ、卵とネギとレモン、ご飯、調味料は砂糖と醤油とウスターソース。
さあなにをしようか、どんな中華が出来るかと考えていたら、後ろで音とシゲさんの怒声。
「豆腐はこれで終わりなのよ!?」
「ごめんなさい、ごめんなさい!」
どうやら、麻婆豆腐にしようと取っておいた豆腐を、メイドが落としてしまったらしい。
そうなれば、麻婆豆腐から豆腐を抜いた、挽肉と野菜のみじん切りの具しかない。
「中華……」
あたしはふと、当主が咳をしていたのを思い出す。
「シゲさん、今まで当主はどんなものをお召し上がりに?」
怒れるシゲさんから聞き出したものは、やけに刺激が強いものだ。
「なにか理由あってなんですか?」
「奥様より、ご当主が刺激がある方が元気が出るといわれて」
あたしは沙紀さんと顔を見合わせた。
「当主は、かなり咳き込んでらっしゃいます。そんな刺激物ばかり食べていたら、咳がさらに酷くなりませんか!?」
「しかし……」
沙紀さんが言った。
「シゲさん。私達はこちらの住人の健康を預かる身です。身体に悪いものは悪いと、提案しなければ。幾ら、この屋敷の長が言おうとも。それで倒れられたりしたら、シゲさん達メイドが責任を取れるんですか!?」
「さ……吾川さん、完全な中華はやめます。いつもそんなお料理なら、気道が疲れてしまうわ。だったら、お腹にも優しく体力がつけれるものを」
別のメイドが飛出して、抗議を始める。
「シゲさんを差し置いて、この生意気な!」
沙紀さんが、即座に言う。
「言われるがまましか出来ない輩は黙れ!」
その間、あたしはスマホを取り出し思った料理が出来るか調べた。
「いけそう! まずカボチャを剥くわ」
よし、レンジもある。