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いじっぱりなシークレットムーン
第13章 Final Moon
 
「スマホでネットを見るんです」

「どちらも意味がわからない」

 そこからあたしの説明が始まった。

 こんなこと、顧客に説明していたから慣れているけれど。

「こういうものです。これはあたしより、朱羽さんの方が得意です」

「なんと。そうなのか」

「……陽菜より、というのは語弊があるでしょうが、そういうものを作るのが好きです」

「……む。では今居るシークレットムーンは、そういうことをする会社なのか?」

 いまさらかよ!

 まあ、興味も無かったんだろうけれど。

「はい。陽菜がスマホで見ていたこういうページを作ったり、もっと機械を便利にするプログラムを作ったり」

「お前、そういうことが出来るのか!?」

「はい、一応は」

 当主は考え込み、そして専務を見た。

「お前も知っていたのか」

「はい。シークレットムーンを統括してますから、なにをしているのかは把握しています。月代さんの専門分野に特出した会社です。今は、こうして見るだけではなく、スマホに聞けば声で教えてくれる時代です」

「な……」

 もしかすると、シークレットムーンの優位会社の忍月コーポレーションのトップは、機械の仕組みについて、そして朱羽の勤める会社について、詳しいことはなにも知らないのではないだろうか。

 スマホを知っていても、電話以外に出来る機能を知らなかったのではないだろうか。だとすれば、パソコンに限ってはどう進化しているのか、わからない……とか?

「ご当主。お孫さんに教わってみたらいかがでしょう」

 もっと、当主との会話を。

「朱羽さんも渉さんも詳しいですし、私や沙紀……吾川さんもお教えすることが出来ます。よろしければ、四人でいかがですか?」

「ふ、ふむ……」

 お、拒絶しない?

 朱羽と専務は嫌そうな顔をしているけれど、大切なのは当主と同じ場所で同じ空気を吸うということで、あとの説明なんてあたしと沙紀さんがしていればいいんだし。

 もっと、孫のことを知って貰わないと。
 
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