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いじっぱりなシークレットムーン
第13章 Final Moon
スマホ講義が始まる。
沙紀さんは、iPhoneだったために、音声ナビのSiriを動かしてみせたり、あたしは指で大きくさせたり移動させたりなどを当主にレクチャーする。
専務と朱羽は、機械についてスマホについて、時代はどうでありどこに向かっていくのかを話すと、当主は驚いたようにして聞き入った。
なんでも知っていると思われた当主も、やはり寄る年波には勝てないのか、機械についていけずにいたらしく(説明してくれるひともいなかったのか?)、なんとかガラケーをようやく使えるようになった矢先のスマホ登場に、なにをどう使うものかわからずに、辟易していたらしい。
熟年を過ぎた世代の、機械に対する質問は子供が考えるように面白く、そこは老いた顧客相手に慣れているあたしや、秘書が長い沙紀さんもフォローした。
朱羽が作った、タブレットで見れるシークレットムーンの情報は、スマホでも見れる。シークレットムーンがどんな仕事をしているのか、その一例としてシステムを動かすと、新たなページが作られていて、社長に就任した結城が取引先に挨拶がてら、契約の続行を確約出来たところが印がついており、従来の新規開拓の営業も皆頑張っているらしく、軒並み印がついている。
「うわ、結城が社長になった途端、結城だけじゃなく、皆も頑張ってる」
この場がどこかも忘れて、朱羽の腕を引いて喜んでしまった。
「副社長が手を出した時より、130%契約増だって! なんとか穴はカバー出来たね。凄いよ、うちのチームワーク!!」
専務の咳払いで、あたしは身を小さくさせた。