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いじっぱりなシークレットムーン
第13章 Final Moon
「ひとつお願いがあります」
朱羽が、涼やかな声で当主に言った。
「俺と渉さんも、陽菜と美幸さんの場に立ち会わせて頂いてもよろしいでしょうか。出来れば沙紀さんも」
「朱羽?」
さらさらとした漆黒の前髪を眼鏡のフレームに零して、その怜悧な目で当主を見据える。
「俺達も知るべきだと思います。この屋敷の"呪い"がなんであるのか。俺の母親も渉さんの母親も、なんで殺されたのか」
朱羽は……なにかに勘づいている。
「あなたが、この屋敷で自由にさせた理由はなにか。なぜあなたが俺達に美幸さんのことを言えないのか。俺達も陽菜と共に、そこにたどり着いて、美幸さんを考えてみたいと思います」
たどり着く先に、なにがあるのか。
当主の顔を覆っているのは、悲哀の情。
それは美幸夫人を知ろうとしているあたし達に対して? それとも美幸夫人に対して?
悲哀の中に混ざっているのは――。
「……。シゲを呼べ。美幸の鍵を開くようにワシが言おう」
開かずの間が、開く。