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いじっぱりなシークレットムーン
第2章 Nostalgic Moon
「ああ、お前は選ばせるものな」
「もち。選んでいる最中に、また顧客も別のアイデアがわいたりするしね。一緒に作った感をあげたいのよ。あたしはデザイナーではないし、木島くんの方がよっぽど専門的に勉強しているから能力はあるけれど、その分アイデアは顧客目線でいきたいわ」
「はは。よりによってお前にピンクのふりふりを、あいつ…」
口に軽く手の甲をあて、くくっと結城は笑う。
それもそのはず、女を強調する色を敬遠していたおかげで、あたしは無難なモノトーン大好き人間になってしまったからだ。
あたしの部屋は色がない。それを結城は知っている。
「そう、あたしにそれを出してきたから、可愛い可愛いリアルピンクのふりふりに、木島くんをお渡ししたの」
「可愛い? お前もう老眼か?」
結城がどっと笑った。
男らしく整った顔をしているのに、笑うとあどけない。
サイドを短めにした少し茶色の髪は、奴の地毛で、昔から脱色していると先生に怒られていたそうだ。
「なんだよ、じろじろと。その老眼で俺がなにに見える?」
「スーツ萌え」
「は?」
「イケメン度、1.4%アップ!」
ウインクして親指をびっと立てると、結城はげんなりとした顔をする。
「せめて微妙な数値はやめろ」
「いいじゃない、マイナスじゃないんだから。スーツにしたら、大学時代よりさらにモテモテ度が上がったじゃない? 今月入って、また告白されたんでしょう? 受付の三橋さん、経理の由利ちゃん、それと……」
「なんでお前が知ってるんだよ!?」
「え、勿論、衣里(えり)」
「真下め!!」