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いじっぱりなシークレットムーン
第14章 Secret Moon
師走ともなれば、夜の七時でも深夜のように暗くなる。
車のヘッドライトが目に眩しい。
「落ち着いたら、陽菜と週末はドライブ行こうと思ってたのに。ごめんね、付き合わせることになっちゃって」
「気にしないで。朱羽も一緒にいるんだから、あたしはなんとも思ってないよ」
――朱羽、カバ。土日だけ本家に来てくれねぇか? 平日は仕事だから解放しろとジジイを説得したから。
――鹿沼、香月。後は俺達に任せて、お前達は今日はもう帰れ。今まで本家で頑張って、今日はあちこち回ってたんだって? その上で仕事までしたんだから、ゆっくり寝ろ。
――そうよ、陽菜。会長も落ち着いてきたし、昼間の病室はひとり体制でいいだろうって話してたの。シフト表、決めておくから、決まり次第LINEするわ。
――明日、また出勤して来いよ。新計画案、お前達と進めたいからさ。
――課長、主任、お疲れ様っす!
――じゃあね、香月ちゃん、鹿沼ちゃん。また明日!!
――お疲れ様でした!
皆に見送られながらまたふたり一緒で帰るのが、なんともこそばゆいけれど、結城までもあたし達に理解を示そうとしてくれているのが嬉しかった。
渉さんは土日もあたし達だけで過ごさせようとしてくれたらしいけれど、当主が寂しがったそうだ。
――ワシはスマホ、買いに行く。沙紀さん忙しそうだし、土曜日、朱羽と陽菜さんが揃ったら教えて貰う。そうだ、美味しいお菓子も用意させよう。どこがいいか銀座にも行ってくる。
当主がひとりで行動する時は、彼がかける携帯ひとつで、どこから湧くのかSPの黒服達が突如現われるらしい。
――ものの五分で病室に迎えに来てよ、物々しい軍団が。あのジジイ、どこぞのヤクザの親分だわ。
あの強面なら確かに組長で通用しそうだ。
……電話ひとつで直ちに動く黒服に、東京湾に沈められないようにしなきゃ!