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いじっぱりなシークレットムーン
第14章 Secret Moon
あたしはしばし感嘆の声を上げ続けながら、その美しさに酔い痴れた。
周りには寄り添うカップルが多く、ここはそういう恋人達がやってくる場所なのだと、今更のように実感する。
イルミネーションをバックに、熱烈に抱き合ってキスするカップルを見てしまい、照れてしまったあたしは、それを視界に入れないように身体ごと横を向いて、朱羽を見上げた。
「ん? どうした?」
よかった、朱羽は気づいていないようだ。羨ましいなどと思ってしまったことを気づかれたら、あんなに愛されているのにまで欲求不満を抱えた貪欲な女だと呆れ返られてしまう。
「こんなに綺麗なスポットがあるなんて、あたし知らなかった! 朱羽よく知ってたね!」
「……木島くんに教えて貰って」
「木島くんが!?」
あの、どこまでも残念な木島くんがこんな素敵な場所を!?
だけど彼は、WEBページを作ったりとにかくデザイン的な刺激を得るために、流行に敏感に反応出来るように努力している。
「そう、今年からなんだって。木島くんが三上さんを誘ったら、その電力はどこから流れてくるのか、逆に質問攻めにしたそうで、さらにはなにかそれでプログラムを思いついたらしくて、今日一日試作品を作っていたそうだ」
「あらら。杏奈は難攻不落だねぇ」
「あなたほどではないだろう」
「あたし、難攻不落なの?」
「それ本気で言ってるの? 俺、あなたの横に立つまで十年はかかっているんだぞ? あんなに我慢させられたのに、あなたは簡単に俺に落ちたとでも思ってるわけ?」
「い、いや……。だけど再会してから、僅かな時間だったし……」
「俺、全力でいっててあんなに時間かかったんだぞ? どうしてこっち見てくれないのかな、どうすれば結城さんより意識して貰えるのか、毎日のように悩んでいたんだからな!?」
「ご、ごめんなさい……」
「わかればよろしい」
朱羽は俯いたあたしの頬に、ポケットに入っていない手をあてた。
「陽菜」
そのままあたしの顔自体を上を向けさせると、イルミネーションにキラキラ光るその目を細めて笑う。