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いじっぱりなシークレットムーン
第14章 Secret Moon
 

「……結城さんにね、クリスマスのこと話してみたんだ。ちょうどその話題が出たから」

「クリスマス?」

「忘れてないよね、クリスマス予約したこと!」

「お、覚えてるよ!」

 忘れかけていただけだってば。

「あの時はあなたと仲がいいからということで了承したけれど、俺自身が結城さんを呼びたいなって。打診してみた」

「来るって?」

「ん……。俺にとってもあなたとの最初のクリスマスだから、ふたりで過ごせって遠慮して遠慮して。陽菜もそう願っているからと言っているのに。まあ、彼の心を思ったら、わからないでもないけど」

「はは……」

「心配無用、夜はふたりで過ごすから大丈夫だって言ったら、怒られた」

 ……朱羽は真面目すぎるから、冗談では返せないタイプだ。

「そしたらね……、病室でクリスマスをしないかって」

「病室?」

「うん。どうせなら会長も全社員も、そして……じいさんも呼ばないかって。渉さんと沙紀さんの他にも、名取川さんもどうかって」

「ええええ!? あそこに全員が来るの!?」 

 点滅が始まり、朱羽の顔が半分闇に溶ける。

「……それもいいかなって思うんだ。料理持ち合って、会長を囲んでシークレットムーンの皆とのクリスマスも」

 想像するだけで騒がしい。

 木島くん、喜んでへんてこ帽子やコスプレしてきそうだ。

 ……だけど楽しそう。
  
「朱羽はいいの? いつものクリスマスじゃなくなっちゃうんじゃ?」

「……渉さんも沙紀さんもいるし、なによりあなたがいる。そして俺の大好きなひとと、好きになろうとしている人達と一緒のクリスマス、してみたいなって思ったんだ」

 その微笑みは優しくて。
 
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