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いじっぱりなシークレットムーン
第14章 Secret Moon
「そうだね。……好きになろうとしてるんだ、当主も」
「うん。発作を起こした俺を見捨てていた昔のことは、俺の中ですぐには消えそうにはないけれど、理解しようとは思う。彼の人間性を」
「……えらいよ、朱羽」
「はは。俺25歳なのに、あそこまで孫馬鹿で金魚のフンになるとは思っていなかった。俺や渉さんにしたことの罪滅ぼしをしようとしているのかもしれないけれどね。じいさんにしてみれば、ちゃっちいパーティーかもしれないけれど、結城さんと仲良しみたいだし、それはそれでいいかなって」
「うん、また看護師さんが怒って来そうだね。あ、それは名取川さん担当にしちゃおうか」
朱羽は笑った。
「俺も、あなたとを引き合わせてくれた会長を混ぜたいと思う。どうだろう、あなたは反対?」
「反対なものですか! あたしの大好きなひとが勢揃いするんだもの。嬉しいよ?」
「じゃあそうしようか。俺、招待状書かないと」
「招待状!? 口約束でいいじゃない」
「いや、だけど集まってくれるのなら」
「律儀だねぇ。あたしも手伝うよ」
「ありがとう。なにか企画考えようか。プレゼント持参にする?」
「いいねぇ! 予算は3,000円まで。くじで誰に当たるかわからないっていうのは?」
「そんなに安くていいの? じいさん卒倒するよ?」
「マンションとかフェラーリとかぽーんとあげちゃうおじいちゃんなんだから、庶民の相場、教えてあげないと」
あたしと朱羽は笑いながら夜道を歩いた。
クリスマスはあたしの誕生日だ。
だったら誕生会を皆で祝って貰うようなもの。
今年は一番楽しいだろうね。